2021.01.06

不妊

◆「不妊」とは

特に病気のない健康な男女が妊娠を希望し、避妊をせず夫婦生活を営んでも妊娠しない不妊期間が1年以上の状態を言います。
(日本生殖医学会HP参照)

 

◆不妊と鍼灸

~世界保健機構(WHO)が、鍼灸の不妊に対する効果を認めています~

1979年、世界保健機構(WHO)は「正当な医療」として鍼灸を承認し、様々な適応症を明らかにしています。その中には、「不妊」や「月経不順」といった婦人科疾患や「冷え症」など、現代の女性がお悩みの症状が多く含まれています。

つまり、鍼灸は体質そのものを改善し、不妊症に高い効果があることが世界的に認められているのです。

鍼灸の本来の目的は、「身体のバランスを整えて、自然治癒力(免疫力)を高めること」です。当院にお越しの患者様でも、体外受精などの高度生殖医療を受けながら、鍼灸で体質改善を行い、妊娠・出産に至った方が多数いらっしゃいます。

もちろん、体外受精を待たずに自然妊娠によりお子さんを授かった方も少なくありません。

 

<原因>

1.東洋医学的視点からの解説

不妊症の原因は、体質的なものから生活習慣に起因するものなど、様々あります。ここでは、東洋医学的な視点からと西洋医学的な視点からの解説をいたします。

◆気滞(きたい)
気滞とは、血液や様々な栄養を全身に届ける役目を担う「気」の巡りが悪化した状態を言います。
それが長期にわたると、血液の流れの悪化を招き、「瘀血(おけつ)」という病理状態に発展してしまいます。
こうなると、当然、子宮の血流も悪くなるため、不妊や生理痛・生理不順などの婦人科疾患の原因になります。
このタイプの不妊に対しては、全身の気の流れを整える役割を持つ「肝」の機能の調整を中心に行い、気と血液の流れを改善し、お身体を妊娠しやすい体質に変えていきます。

◆痰湿(たんしつ)
痰湿とは、体内の水分の流れが悪化し、ドロドロになった状態をいいます。
大量の飲酒や喫煙・暴飲暴食といった不摂生が長期にわたると、身体を潤す水分の流れに影響が及びます。そして、水の流れが悪化しドロドロになると、「痰湿」という病理産物に変わり、様々な症状を引き起こします。その症状の一つが「卵管の詰まり」であり、不妊症の原因となってしまいます。
また、おりものが増えたり、手足が重い・浮腫などの症状が現れます。
このタイプの不妊に対しては、水の流れを促進する役割を持つ「脾」の機能の調整を中心に行います。そして、水分の流れを改善し、お身体を妊娠しやすい体質に変えていきます。

◆腎虚(じんきょ)
腎虚とは、人間の生命力の源とされている「腎」の機能が低下した状態を言います。主に、昼夜逆転の生活や慢性的な睡眠不足といった不摂生が原因とされています。つまり、身体にかかる負荷が大きすぎて、生命力がすり減っている状態とも言えるでしょう。
東洋医学では、「腎」は生殖機能とも深い関係があるとされているため、腎虚は妊娠力の低下を招き、不妊の大きな原因となってしまうのです。
この「腎虚」は、主に「腎陰虚」と「腎陽虚」に分けられます。
「腎陰虚」では、身体を潤す「陰」が少なくなっているため、月経量が少ないなどの婦人科の症状のほかに、手足のほてり・不眠など、熱の症状が現れます。
「腎陽虚」では、身体を温める「陽」が少なくなっているため、月経量が少ないなどの婦人科の症状のほかに、身体が冷える・頻尿・脚の浮腫など、寒の症状が現れます。
また、腎虚に共通する症状として、シクシクと重だるい腰痛が現れます。このタイプの不妊に対しては、「腎」の機能を補うことが中心になります。
また、腎機能が低下すると、他の臓器にも影響が及びやすいため、全体のバランスを考慮しながら施術を行います。

 

2.西洋医学的視点からの解説
女性の不妊症の主な原因は、卵管因子が30~40%と最も高くなっており、排卵因子が20~30%となっています。
この2つに男性因子が加わり、不妊症の三大原因となります。
また、男女共に不妊の原因が特定できない「機能性不妊」も10~20%と高くなっています。

◆卵管に原因がある場合(卵管因子:不妊原因の30~40%)
卵管は、卵巣から排出された卵子を取り込み、子宮から卵管を通ってきた精子と卵管膨大部で受精します。その後も、受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管の中を通り、子宮内膜に至って着床します。この卵管に障害が生じると、スムーズな受精を阻害されることになり、不妊症になります。卵管因子は、閉塞・狭窄・癒着の3つに分けられますが、先天的なものを除けばクラミジアなどの感染や、子宮内膜症によるものがほとんどです。

◆排卵に原因がある場合(排卵因子:不妊原因の20~30%)
卵子が成熟できず未成熟のまま卵管へ排出されたり、卵巣から卵管へうまく排出されない状態をいいます。卵子が未成熟では受精しづらく、受精しても細胞分裂ができなくなります。また、卵管に卵子が排出されなければ受精できません。そのため、どちらも不妊の原因となります。

排卵障害となる原因は様々ですが、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群:排卵にまで至らない未成熟卵胞が卵巣の中にたくさん出来る状態)や高プロラクチン血症(乳汁分泌ホルモンであるプロラクチンが過剰に分泌されるため、排卵が抑制される状態)などが主な原因として挙げられます。しかし、PCOSも高プロラクチン血症も、ストレスが原因で起こるといわれています。そのため、排卵障害の本当の原因は、日常生活の中にあると言えるでしょう。

◆原因不明の不妊(機能性不妊:不妊原因の約10%)
医療機関によって検査の精密度が異なるため、精密検査を行えば機能性不妊の割合は低くなると言われていますが、それでも約10%の方が「原因不明」とされ悩んでいます。

当院では、上記のような西洋医学的診断も踏まえつつ、東洋医学的な視点からの考察も加えて、総合的な施術を行っています。