2019.05.22

鍼灸学校3年生の勉強法 ~過去問編1~

こんにちは!
十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

では、今回から本格的に
3年生の勉強法をお話ししていきます。

試験対策においては、どんな試験であっても
過去問を解くことが「最上の策」になります。

なぜなら、国家試験とは、
資格取得を目指す者が、
資格を得るにふさわしい「必須の知識」を
持っているか否かを試すために
行われるものだからです。

ですから、テキストで
試験範囲を隅から隅まで勉強するよりも、
国家試験でこれまで問われてきたことを
テキストに戻って勉強した方がムダがなく、
効率的かつ効果的です。

つまり、2年生までは、
「テキスト⇒問題」の順序で学習していましたが、
これからは「国家試験問題⇒テキスト」と
順序を逆にして学んだ方が良い
ということです。

しかし、
ただ解けばいいというものでもありません。

過去問にも、やはり効率的かつ効果的な
勉強法があります。

今回は、まず「その1」です。

 

①選択肢を徹底的に学べ!

皆さん、過去問学習や模試の問題を復習するとき、
正解を導き出して終わりにしていませんか?

それは、実は非常にもったいないことを
しているのです。

作問者が作った選択肢は全て、
各科目の中で大切なポイントとなる
知識であることがほとんどです。

例えば、2007年の問題94。
こんな問題が出題されています。

血について誤っている記述はどれか。
1.肝に貯蔵される
2.営気とともに脈中をめぐる
3.心によって推動される
4.脾が各器官に配分する

この問題、正解を導き出すのは
そんなに難しくないですよね。

誤っている記述、すなわち正解は「4」です。

しかし、
これだけで「解けた」と思って
次の問題に移ってしまってはいけません。

この4つの選択肢を深掘りし、
なぜこの選択肢は間違いなのか、
なぜこの選択肢は正しいのか、を
テキストや複数の参考文献を調べながら
学習していくのです。

では、この問題の選択肢について、
1つずつ解説していきます。

 

☆選択肢1.肝に貯蔵される
肝は、蔵血作用があり、血液を蔵しています。
ですから、1の記述は正しいです。

また、肝はもう一つ疏泄という
大切な作用を担っています。

これに関しては、あとで詳しくお話しします。

 

☆選択肢2.営気とともに脈中をめぐる

営気とは、飲食物から得られる栄養素である
「水穀の精微」の中の
「精華部分(最も栄養価が高い部分)」
から作り出され、
血液と一緒に脈中を流れています。

だから、2は正しい記述ということになります。

さらに学びを進めると、
営気は津液と結びついて血液を生成します。

営気は、血液の原材料にもなっている
ということですね。

だからこそ、水穀の精微の中でも
最も栄養価が高い部分しか
営気になれないのです。

すると、カップラーメンなどの
ジャンクフードばかり食べていると
営気が十分に作られず、
血液も作り出せなくなります。

そして、営気と言えば、衛気に関しても
一緒に学んでおくと良いです。

営気と衛気は「営衛」という言葉があるくらい
とても関連が深いです。

また、「営陰」「衛陽」という呼び方もあり、
この二つの気は「陰陽」のように
セットで覚えておくべきものです。

衛気は、水穀の精微の中の特に活発な部分から
作られ、「水穀の悍気」とも呼ばれています。

この「悍」とは、勇猛という意味です。

そして、衛気の「衛」は「防衛」の「衛」です。

衛気は、体表を巡り身体を外邪から守るのですから、
勇猛でなければ勤めは果たせないですよね。

まとめると、
水穀の精微の中の最も栄養価が高い部分が
「営気」となり、
血液と一緒に脈中を巡ります。

水穀の精微の中の最も勇猛・活発な部分から
「衛気」が作られ、脈外を流れ体表を守っています。

そして、営気と衛気を陰陽で表すと、
営気が陰、衛気が陽になります。

セットで覚えるべき、とても大切な知識です。

 

☆選択肢3.心によって推動される

もちろん正しい記述です。

心の持つ作用は、主血脈と蔵神。

この主血脈とは、心が血液と脈の2つを
管理している働きを表した言葉です。

そして、この血液と脈を管理する重要な働きは
心の拍動によって行われているとされています。

その心の拍動を
東洋医学では「心気」と呼びます。

「心気」が一定のリズムで心を拍動させ、
その推動作用で血液を脈を通して
全身に送っています。

ここで、さらに復習したいのは、
気の持つ5つの作用です。

体内の物質を押し流す「推動作用」
正常体温を維持する「温煦作用」
体内の物質を一定の場所に留める「固摂作用」
身体を外邪から守る「防御作用」
体内の物質を他の物質に変化させる「気化作用」

これらも同時に復習しておくと良いですね。

 

☆選択肢4.脾が各器官に配分する

血を各器官に配分するのは、脾ではないですね。

脾の血に対する作用は、「統血」でした。
この統血とは、血を脈外に溢れさせないよう
統率する働きのことを指します。

そして、この統血作用は、
脾気の持つ「固摂作用」によるものですね。

ですから、脾気虚になり統血作用が弱ってくると
皮下出血や不正性器出血などの出血症状が
出てくる可能性があります。

と言うことで、4の記述は間違いです。

そして、ここからが大切です!

では、血を各器官に配分するのは、
どの臓器でしょうか。

つまり、この誤っている記述のどこを直せば
正しい記述になるのかを考えるのです。

この場合は、「脾」を「肝」に直せば、
4の選択肢は正しい記述になります。

選択肢1でサラッと流しましたが、
肝の機能は、疏泄と蔵血です。

そして、
肝に貯蔵された血液を各部位に送る機能は、
肝の疏泄機能の一部とされています。

つまり、肝に蔵された血液を
疏泄機能を使って必要とする各器官に流し
配分していく、ということです。

そのため、疏泄機能が十分に果たされていて
初めて蔵血機能が成り立つということになります。

つまり、蔵血は、血液を必要とする部位に
血液を送り届けるために
必要な血液を貯蔵しておく機能です。

だから、疏泄機能によって
その血液を送り届けられるからこそ、
貯めておく意義があるのです。

疏泄で送り届けてもらえなければ、
ただ血液をためておくだけに
なってしまいますね。

宝の持ち腐れで、蔵血の意味がなくなります。

また、肝気は
非常に昇りやすい性質をもっており、
肝に血液が十分に蔵されていないと
昇りすぎて眩暈などの症状を
引き起こしてしまいます。

肝血(陰)が十分でなければ
肝気(陽)を抑えられずに昇り過ぎて
自分の機能を果たさずに
勝手な動きをしまうということですね。

だから、
蔵血機能が十分に果たされていることで
疏泄が正常に機能することになります。

この疏泄と蔵血は、
お互いの機能を正常に働かせるために
助け合いながら機能を保っているということです。

ここまでやって、
初めて「過去問の2007年の問題94を学んだ」
ということになります。

このやり方をしていると、
初めは1問を解くのに非常に時間がかかります。

下手をすると、
1〜2時間かかることもあるでしょう。

でも、それで良いのです。

なぜなら、皆さんには、まだ残された時間が
たっぷりとあるからです。

この勉強法は、今から始めるからこそ
効果があります。

この勉強法を繰り返していると、
数ヶ月後には1問1問の所要時間が
だんだん短くなってきます。

選択肢を深く学んでいたからこそ、
過去問を解いていても
知識の確認程度で済むようになるからです。

 

誠真堂鍼灸院 東洋史

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