2021.03.25

「胃痛」の解説

胃痛は、主に、みぞおちから臍の間に痛みが発生する症状のことを言います。胃は、食べ物を最初に受け入れる臓腑であるため、胃が変調をきたすと食欲不振や悪心・嘔吐、といったツラい症状に悩まされます。
また、「胃不和、臥不安」という東洋医学の言葉もあるように、胃が失調すると(胃不和)、睡眠にも障害が及ぶこともあります(臥不安)。

 

<胃痛のタイプの分類>

1.ストレスによる胃痛①(肝気犯胃)
◆症状
胃の辺りが張るように痛い(脹痛)、胃痛が脇にまで及ぶ、頻繁にゲップをする、便秘、ストレスがかかると胃痛が悪化する、

◆解説
東洋医学の「肝」は、疏泄(そせつ)という働きを持つとされています。疏泄とは、全身の気の流れを促進させる、という意味です。そして、消化器の機能を助け、促進することが、この疏泄の重要な役割の一つとなっています。
肝の「疏泄機能」は、ストレスに弱く、流れの停滞を生むことになります(これを「肝鬱気滞(かんうつきたい)」と呼びます)。すると、消化器の補助の作用が十分に行えなくなり、胃腸に負担がかかることになります。
このタイプは、適度な運動を行ったり、趣味の時間を作るなど、意識的にストレスを発散させる時間を作ることで痛みが軽減しやすくなります。

◆適応する漢方薬
柴胡疏肝散

◆常用されるツボ
合谷・太衝・大敦・足三里・梁丘・肝兪・中脘

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2.ストレスによる胃痛②(肝胃鬱熱)
◆症状
胃の辺りに激しい灼熱痛がある、イライラして怒りやすい、胃液がこみ上げる、口が渇く、口が苦い、

◆解説
東洋医学の「肝」は、疏泄(そせつ)という働きを持つとされています。疏泄とは、全身の気の流れを促進させる、という意味です。そして、消化器の機能を助け、促進することが、この疏泄の重要な役割の一つとなっています。
肝の「疏泄機能」は、ストレスに弱く、流れの停滞を生むことになります(これを「肝鬱気滞(かんうつきたい)」と呼びます)。それが長期間にわたると熱を帯びるようになり(化熱)、胃を犯すことで「胃熱」という症状が起こります。
この熱邪は、精神状態にも影響を与えるため、イライラや怒りやすいなどの症状も現れやすくなります。
このタイプは、意識的にストレスを発散させる時間を作ることと同時に、香辛料や紅茶などの熱性の飲食物を控えることが大切です。

◆適応する漢方薬
化肝煎

◆常用されるツボ
合谷・太衝・行間・足三里・内庭・肝兪・中脘

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3.暴飲暴食による胃痛(飲食停滞)
◆症状
胃の辺りが張るように痛い(脹痛)、くさいゲップが出る、未消化物を嘔吐する、便秘

◆解説
「飲食停滞」とは、胃腸の消化機能上回るくらいの暴飲暴食により、胃の中に未消化物が溜まってしまいます。これを「飲食停滞」もしくは
「食滞」と言います。これが起こると胃腸の機能は乱れ、上記のような症状が引き起こされます。

◆適応する漢方薬
保和丸

◆常用されるツボ
合谷・足三里・中脘

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4.血流の悪化による胃痛(瘀血停滞)
◆症状
胃の辺り(胃脘部)の痛む場所が一定(固定痛)で、手を当てると痛みが増し(拒按)、刺すような痛み(刺痛)がある、食後に痛みがひどくなる、便が黒い、ひどくなると吐血する、

◆解説
このタイプの胃痛は、かなり症状が重く、長期にわたって胃腸の不調を訴えられている方が多いです。
胃は、飲食物を受け入れると血液が集まるようになっています。そのため、胃の血流が悪く瘀血があると食後に胃痛がひどくなります。

◆適応する漢方薬
失笑散合丹参飲

◆常用されるツボ
合谷・太衝・足三里・中脘・梁丘・膈兪・血海