2020.12.23

「腰痛」の解説

腰痛は、腰部の痛みを主な症状とする病証です。東洋医学には、「腰は腎の府を為す」という言葉があり、腰痛は腎機能と深い関係があると考えられています。

 

<原因>

腰痛が起こる原因は、大きく「外感」と「内傷」に分けられます。例えば、寒い湿地帯に長く留まるような仕事をされている方は、「寒湿の邪気」を受けてしまい、それが腰痛の原因となります(外感腰痛)。また、過労その他で腎機能が低下した(腎虚)ことで、腰の筋脈が滋養できず、腰痛が生じることもあります(内傷腰痛)。
当院では、どのタイプの腰痛かを判別し、適切な施術を行っています。

 

<腰痛のタイプの分類>

1.寒湿の邪気を受けたことによる腰痛(寒湿腰痛)
◆症状
腰を冷やすと腰痛が悪化する、腰をひねりにくい、腰痛が徐々に悪化する、横になっても痛みが軽減しない、曇天や雨天で痛みが悪化する

◆解説
寒くてジメジメした場所に長くいたり、濡れた洋服を着ていると、寒湿の邪気が体内に入り込みます。寒湿の邪気は、寒邪(筋肉を引きつらせる作用がある)と湿邪(重だるさを引き起こす作用がある)が合わさった邪気です。そのため、腰の筋肉が硬くなり、ひねりにくいなどの症状が現れます。

◆適応する漢方薬
甘姜苓朮湯(腎着湯)

◆常用されるツボ
太白・足三里・条口・脾兪・腎兪

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2.湿熱の邪気を受けたことによる腰痛(湿熱腰痛)
◆症状
力が抜けるような腰痛、痛む場所に熱感を伴う、猛暑日や雨天で痛みが悪化する、動かすと痛みが軽減する、

◆解説
蒸し暑い夏や梅雨の時期に、よく発症する腰痛です。熱の邪気は、筋肉を弛緩させるので、力が抜けるような腰痛になります。また、湿邪の粘滞性(粘っこく一ヵ所に留まる性質)により、痛む部位は変化しません。

◆適応する漢方薬
四妙丸

◆常用されるツボ
太白・足三里・条口・脾兪・腎兪

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3.血流の悪化による腰痛(瘀血腰痛)
◆症状
腰に刺すような痛みがある(刺痛)、夜間に悪化する(夜間痛)、軽い場合は前後に曲げにくい、重い場合は腰をひねることができない、痛みのある部位を触られたくない(拒按)、腰に外傷歴があることがある

◆解説
東洋医学では、血流が悪化してできた病理産物のことを瘀血(おけつ)と呼び、様々な症状を引き起こす原因になると考えられています。その代表的な症状が、痛みです。東洋医学では、「不通則痛(通じざれば則ち痛む)」という原則があります。つまり、流れているものが流れにくくなると、痛みを引き起こす原因になる、ということです。この「瘀血」が体内で形成されると、それ自身がさらに血流を悪化させ、慢性的な痛みとなって現れてくるのです。瘀血の痛みには、「刺痛(刺すような痛み)」「夜間痛」「固定痛(痛む部位が固定されている)」といった特徴があります。

◆適応する漢方薬
身痛逐瘀湯

◆常用されるツボ
三陰交・血海・膈兪

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4.腎機能低下による腰痛(腎虚腰痛)
◆症状
重だるい腰痛、触られたり揉まれると気持ち良い、疲れると痛みが悪化する、横になると痛みが和らぐ、

◆解説
東洋医学には、「腰は腎の府を為す」という言葉があり、腰痛は腎機能と深い関係があると考えられています。腎機能が低下すると、腰を十分に養えなくなり、重だるい痛みが腰に現れます。
また、腎の陽が虚している場合(腎陽虚)は、手足が冷たい、顔が白いなどの「寒」の症状が伴ない、腎の陰が虚している場合(腎陰虚)は、手足が熱い、顔が赤いなどの「熱」の症状が伴ないます。

◆適応する漢方薬
腎陽虚:右帰丸
腎陰虚:左帰丸

◆常用されるツボ
太谿・腎兪