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2018.12.11

イヤホンの音量は控えめに!【後編】

こんにちは!
十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

前回から、「久聴(きゅうちょう)」について
お話ししています。

「久聴」は、
中国の「益齢単(えきれいたん)」という
健康維持法の専門書に記載されている
長い間やり続けると健康を損なうとされる
6つの行い「六久(ろくきゅう)」の一つでした。

「久聴」とは、すなわち
「長時間聴きすぎる」という意味です。

そして、その「久聴」は
「精気と心神を損なう」と記されています。

今回は、「心神」についてお話します。

◆久聴は心神を損なう

「心神を損なう」とは、現代語に翻訳すると
「精神の安定を損なう」という意味です。

では、なぜ「久聴」で
精神の安定を損なうのでしょうか。

中医学では、血液の働きは「全身の滋養作用」と
「精神安定化作用」の2つがあるとされています。

滋養作用は、西洋医学と同じ考え方ですね。
全身の各器官に栄養を送り届ける役目のことです。

一方、
「精神安定化作用」は中医学独特の考え方です。

中医学では、
血液は「精神活動の基本物質」と言われています。

つまり、怒ったり、泣いたり、笑ったり、悩んだり、
といった精神活動は、血液を燃料として
血液を消耗しながら行っているということです。

だから、
身体の中に十分な血液があることで精神は安定し、
正常な精神活動を行えるんです。

毎月、生理として
体外に血液を排出する宿命を背負った女性が、
男性よりも精神的に不安定になりやすいのは、
実はこのためだったんですね。

そして、この血液と、「久聴」で損なわれる精気は、
不足するとお互いに補い合う関係にあります。

つまり、「久聴」で精気が不足すると、
血液が精気に変化して精気を補うということです。

この関係を
「精血同源(せいけつどうげん)」と言います。

ですから、
大音量で音楽を聴き続けると精気が大量に消耗し、
血液がそれを補うために精気に変化し続けます。

そして、この状態が長期間続くと、
両方とも不足してしまうことになるんです。

ちなみに、血液が不足したことにより心神を損なったときは、
不眠や多夢、健忘(物忘れ)、
イライラしやすいなどの症状が出てきます。

音楽は、適度な音量で聴けば、癒しになります。

音楽を聴いて精神不安定になってしまうのは、本末転倒です。

何事も、過ぎたるは及ばざるが如しって
ことなんですね。

皆さん、適度な音量で音楽を楽しみましょう。